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タリアの軍隊編成のこと(10/12)
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タリア軍についての覚書。
総大将は、第二王子のシルヴォ・リヨン。乱世ならば一世を風靡するはず、と言われる逸材。で、その下は川にちなんで、シュロン軍とサルタ軍とサッソン軍と呼ばれる三つの軍にわかれている。
シュロン軍の大将がイファと恋仲の噂もあった(今は違うらしい)、ドーン・ロマティカ。サルタ軍の大将が、老雄、ウィセン・グラール。サッソン軍の大将が、ラリアンの師の一人にあたる、槍の達人、シサイ・アリアード。
細かいことはいろいろあるけど、だいたい一つが遠征して二つが守るのが基本みたいだ。
士気と結束はかなり固い。タリアが古くから誇りをもって自治してきたのと、近隣や南方にことあるごとにしっかり援軍を送ってきたのが効いていると思う。
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タリアの魔法隊のこと(10/15)
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タリア軍についての覚書、つづき。
シルヴォにはそういえば、直属の近衛隊がついていた。王族親衛隊といったところか。まあ栄誉ある隊であるが、能力のわりに実績は乏しいかも。
んで、イファ君がリーダーをつとめる、王城魔法院は軍とはいちおう別組織になっている。魔法使いは、軍に随行するときも、直接軍の束縛を受けない。軍隊にとってみればなかなかやっかいなことだろう。だけど、一種の軍師みたいなものと考えてみればいいのだろうか。
遠征軍は、山岳方面で起きやすい山賊のような反乱蜂起や、あるいは南方の戦場へ送られることが多い。イニダ・ヨネムが関わっている南方での戦いがすでに2年近く過ぎている。遠征しているウィセン軍をシサイ軍と交代させる動きがある。
そうするとラリアン君が初陣としていく可能性が高い。例の槍は立派すぎて、まだ一兵卒であるラリアン君には目立ちすぎる。目立たないが性能のいい槍を一つ、彼女のためにしつらえるべきだろうか……、とイファ君とかは思ってるみたい。
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タリア宗教の教義のこと(10/15)
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先祖を大切に。
人生は丸。
学べ。
他人、自分を傷つけるな。
普通であることが、いちばん大変である。
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ラレド地方に伝わるVoicesのこと(10/15)
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イファに、いちばんお気に入りの音楽とかある? とか聞いてみた。
なんでも、ラレド地方、大河の川辺の崖に人が立ち、ただ声を出すだけの、あまりにも美しい音楽があるらしい。
ほんとに、旋律も何も無く、ただ声だけ。
魔法のように響き、ひろく川面から地平線までを声だけで支配するような、そんな雄大な「声」であるらしい。
もとは、舟にいろいろな情報や危険を伝えるものらしい。しかし、遠く響くVoicesはただの役目を越えて、極めつけの音楽になった。
ときどき、男女、あるいはグループでハーモニーを奏でる。「純正調」とイファは言っていたが、その意味ははっきりとはあたしにはわからない。
……聴きたい。
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ライム・ルーカオさんのこと(10/18)
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まだ生きてるんだろうか。ミン様より3つ若かったと思うから、今生きてれば、64歳……あ、十分生きてるな。
魔法理論応用の天才と言われた人。つーか、考えてみれば、イナム特有に伝わる魔法を最大利用した兵法って、この人の創案によるものが多い。実際、ミン様が能力フルに使って戦術組み立てても、ライムさんの巧みな用兵には敵わない、と思う。
イファ君の戦術は大陸西岸仕込みだけど、ベースになってるのはやはりライムさんの兵法だと思う。
もっともライムさんの創案によるもので兵法はほんの一部分で、新しい呪文とか魔法の使い方とかたくさんある。
実践の経験の意外と少ない、天才肌の人。早くに引退して悠々自適の生活送ってたと聞くけど、……どうなんだろう。万一イナム王城に戻ってディージナさんと組むようになったら最高なんだけど。
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タリアの語源のこと(10/22)
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「リア」てのが、タリアの古いことばで「land」を意味するのね。「場所」とか「土地」「国」そんな意味。
「タ」というのは、「つなぐ」というニュアンスの助詞。だから、「タリア」というのは「タ・リア」で、「つなぐ土地」という意味になるの。交通の要所として栄えたからそんな名前になったんだと思う。
んで、このあたり一帯を差す言葉が「アルメリア」。これはおおむね、「魔法の土地」といった感じ。
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ちょっと遠出のこと(10/28)
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休みだったので、ちょっと遠出してみる。一日飛んで行ける範囲。
クズウという村がある。そこの長老、ソールスさんは、かなりの魔法の腕を持っていて、一人で妖魔の多い村の結界を守っていた。
自分が亡くなった後のことが心配なので、長持ちする結界を作りたいらしい。いくらか協力することを約束する。
で、いきなり大雨降ってきて、ずぶぬれで帰ることになってしまった。
遅刻でイファにはしこたま怒られるし……。
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印鑑とサインのこと(10/28)
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街ごとにエンブレムがあるように、人ごとにもちょっとデザインされたサインがある。花押、というやつ。
これが、北の、アドレイト河流域になると、印鑑を使う文化になる。しちめんどくさい。あたしは自分の印鑑なんか持ってないし。
印鑑のデザインは中央にイニシャルの頭文字、周囲に円形に姓名、というのが主流。
サインは必ず自分でしないといけないけど、印鑑は他人が押してもいいわけだし。どうも印鑑にはなじめない。うーむ。
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クラスタ・レミ・シーカのこと(11/04)
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彼女には決着がついてしまった。
それは悲劇的な結果だったけれども。
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12学徒のこと(11/08)
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レミのことはまとめて後で書こう。
イファは復活してけっこう元気。もう講義再開している。
12学徒への講義は毎年違う。それは卒業生同士がお互いの知識を交換して、より結びつきを強める結果になっている。
なるほど、それが狙いか、イファ。
にしても、イファは教えるの上手い。
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レミのこと(11/08)
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クラスタ・レミ・シーカ。服従の魔法使い。誰かに服従することのみが彼女の生きざまだったらしい。
最初の主人は、タブロース・ソン・コーク。南方、クリヤートの王子。サディスト。レミとの関係は虐待者と被虐者だったが、二人の間の深い信頼関係があった。
・イリディアの「気」を利用して、陥れた政敵の娘を不死化した上で虐待を加える。娘は傷ついた身体を他人の生命力を吸うことで回復することになる。娘の親族を捕らえ、娘に生命力を吸わせ、苛む。(この哀れな少女を最後に解放したのはイファらしい)
・タブロースが戯れに虐待していた召使を、過度の虐待で殺してしまった貴族に、復讐する。レミに魔法鍵のキーワードを教え、その鍵で閉ざされた牢獄に貴族とレミとを閉じ込める。貴族はレミを拷問するがレミは絶対にキーワードを教えない。無論貴族はレミを殺害するわけにはいかない。最後の最後にはサディストとして鳴る貴族が、女王然としてふるまうレミに屈することになる。
このような噂が伝えられている。
タブロースはクリヤートの内乱で倒され、レミはタブロースを殺害しようとした側の隻眼の少年、ライラック・グライフ・フィシカに従うようになる。
グライフは少し気が触れた少年。ただ、レミの魔法能力は見抜いていた。
グライフは自分を隻眼にした相手に復讐しようとしていた。だが、その相手はまさにタブロースとレミであった。そのことをしったグライフは、レミの殺害をもくろむ。
だが、結果、グライフのみが全身不具になり、レミはほぼ無傷で助かる。
レミは、グライフが何をしようとしたか知ってなお、グライフに仕えていた。
グライフの命令通りにレミは自分の身体を痛めつけることもあった。
グライフを養うため、レミは魔法の能力で金を稼ぐ方法を知ろうと、タリアへ来た。今年の9月半ばころのこと。誰かが、魔法の物品を作って売るのが一番よいと教えたらしい。レミは魔法の物品を売る協力者の青年を少し好きになり、はじめて服従以外の手段で人と心を交わすことを覚える。
だが、グライフはレミに逐一何があったか報告させていた。グライフはレミに青年を殺すよう命令した。
ためらうも、レミは青年を魔法で殺害する。
タリアはこのことを極めて重く見た。
また、グライフは次には無差別の殺人を要求してきた。
イファは、レミが魔法の力を使ったら、自分でないと止められない、と言った。
そして、イファはレミと対峙することになった。
あたしは魔法の激しい激突がまわりに衝撃を与えないように障壁を張る役目を追った。かつてミン様とディージナが激突すると言われていたころ、あたしに予定されていた役目だ。まさかこんな形で使うことになるとは……。
レミは倒され、グライフはレミが帰って来ないなら死ぬだけ。
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何か一区切りのこと。(548/11/11)
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イファに、南方魔法使いの実力を探索するよう言われる。
自分でも気になっていたことだから、とつぶやいて長旅に出る。
一日3ディールの行程で進むことにしよう。一週間ほどでサマリアまでも行ける。
3ヶ月くらい帰って来れない。サユ、エテルナ、ディミアには軽く挨拶して去る。
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イリディアの魂を使う術のこと。(548/11/11)
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イリディアにはイリディアしかわからないことがある。
例えば、どこかに侵入したイリディアを探知することはほとんど不可能だが、イリディア同士なら魔法空間を通じてかなりわかる。
南方ではイリディアは虐げられているから、あたしの侵入はほぼ誰にも気づかれないはず、本来なら。
南方魔法使いには、イリディアの魂を散らすことで対イリディアに備える魔法があると聞く。それはレミがタブロースと共にとある娘にかけた術とおそらくは似ているのであろう。
ほんとだとすれば全く許せない。
あたしにとっていちばんの敵がいちばんの難敵、ということだ。
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イリディア人形のこと。(548/11/15)
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魔法空間と連絡を断てば、まず魔法的に見つかることはない。
イリディアがいない限りは、空から探されることはないはず。
だけど、もし、空からの目を持つ魔法を使われると、見つかるかもしれない。
可能性は低いが……。
だから、遠くからだと一見イリディアに見えるごみの塊を作ってみた。これを屋根に乗せておいて、向こうの反応を見る。
その他、いろいろな手で、各都市の「イリディアへの反応の良さ」を確認してみることにする。まずこれをやると、調査仕事がやりやすくなる。
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都市の子供のこと。(548/11/26)
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都市の子供。適当にうろついて、適当に何か買って食べて、どこかで眠っている。気が向いたら仕事しているみたい。
都市にいながら気ままな生活をしている。
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妖精装備のこと。(548/12/09)
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サマリアまで、街道沿いに飛ぶ。深い森の中を、街道を確認しつつ高速に飛び、常に周囲に気をつかって人族に発見されないようにしないとならない。ストレスフル。ただ、こんなことをしてると、イファがあたしに命じた理由も何となくわかってくる。
サマリアにつけば、いちどレリーナ・ミエフェル&ライル・サエヴァと連絡を取り、妖精たちの森の位置を教えてもらい、妖精たちの森をいろいろと回ることになる。
つまり、行き道で大まかな地図を作り、帰り道で地図にイリディア-ネットワークを書き込むことになるわけ。
ふだんあたしは邪魔にならないように、ウェストポーチをつけて、いろいろ入れている。大きくはないので、装備は常に最小限。イファが開発した「鉛筆」が極めて役に立っている。
鉛筆とノートと、あとはナイフ、天測具をひとつだけ。ロープを少し身体に巻いている。
あたしの情報が全て整えば、北は南に自由に侵攻できるも同然、かもしれない。
当初の予定を変更し、ゆっくりと進むことにした。都市の調査はあまり行わない。目立たないように、ほとんどの行動は夜にしている。
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永遠の眠りの妖精のこと(548/12/17)
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イリディアが全ての動きを拘束されたら。「永遠の眠り」につくことができる。つまり全ての活動を停止させ、外界からの刺激がなければいつまでも眠りつづける。
イリディアそのものが封じられた宝石、とか、イリディアが内部に取り込まれてしまった木とか、そういうのを聞いたことがある。
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サマリアにてのこと(548/12/29)
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12/27にサマリア着。一時的に疲れからか記憶が全然出て来なくて困った。
ようやく回復したので、あたしがタリアやウラノンのことをいろいろ伝え、しばらくサマリアについてのレクチャーを受けることにする。
何かと気をつかうけど、イリディアたちの集まりは結構陽気。ナヴィ君とクリル君にいろいろと面倒をみてもらっている。
レリーナは、びっくりするくらい綺麗だった……です。
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レリーナとの会話のこと(549/01/08)
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正月に何かあったわけじゃないので、それはパス。
タリアに住んでたならタリアの正月のことでも書いたのにね。
レリーナがあたしに、「リジュラーン皇をイリディアが暗殺できるか?」と問うてきた。それは不可能ではないようにあたしには思えた。しかし「できない」と答えた。
聡いレリーナは、「それは可能性の問題でないわね」と言った。
「この国では、皆がイリディアを憎悪すべきものと思っている。イリディアが皇帝を殺したとなれば、人とイリディアの関係は永久に良くならないと思うの」あたしの言葉。
レリーナは、ムダン森のことを知っていて、そのことをあたしに聞いてきたので、少しブルーな気持ちになった。
レリーナは言った。
「もしも私が、イリディアをかくまっていることが露顕して、王城当局に捕らえられたらどうする? (私、レリーナが)相当にひどい目に合わされるとは思うのだけど」
あたしは答えた。
「助けにいくよ」
「即答するのね」
レリーナに言われ、あたしは少し考えて答えた。
「たとえそれでイリディアが人を傷つけることになったとしても。……あたしたちとレリーナには信頼関係がある。信頼ある人を助けに行かずに、人族との信用を得ようなんて、そんなことできるわけがない」
レリーナは、くすっと笑ったようだった。
もし助けにいくとすれば、向こうもイリディアに対して幾重にも備えをしているに違いない。そんな備えを突破した遠い記憶がある。シノ・ナナイの方の記憶……ヒグサに会うために教団へ潜入したときの記憶が。
どうでもいいけど、レリーナってなんか会話に文語っぽい言葉がよく出てくる。昔はそんな感じでなかったのに。サマリアの王城ってそんな感じの社交なんだろうか。
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レリーナのこと(99/01/11)
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レリーナは、サマリア王城では、細工工学者という立場を取っている。化学者などより実学的なので重宝されるようだ。具体的には時計やからくり人形の作成などやっているようだ。
魔法が使えることは隠している。南では魔法使いは王城付き魔法使い隊の特権であり、それによらず覚えた魔法は必ず追及されるのと、魔法使いとして妖精対策を命じられる可能性を嫌ったからであるらしい。
貴族の幾人かに取り入り、とある貴族の愛人同様になっている。情報などはそこから巧みに取っている。
切れ者、との評判を作りたくないようで、やや道化を演じている。
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さて、南へ行くことになりましたかな、のこと(99/01/25)
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結局サマリアからさらに南、ケルンへと旅立つ。
パリア族のいる地、リーダーのフェラトゥに会うのが目的。
パリア族の王族分家の血を、レリーナは引いている。かつてサマリアの攻撃を受けたときに、一族こぞってノルン島へと逃げ、テイカスに居を構えていたわけ。200年くらい前の話。
なので、レリーナはノルン島から大陸東南部へ工作に入ったとき、まずこのケルンからスタートした。商人をよそおい、フェラトゥに近づき、生い立ちを話して歓迎され、中央へと科挙推薦してもらっている。
イリディアたちの締めつけが割と楽なところらしい。けど油断は禁物、大禁物。
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レリーナとサマリア内部のこと(99/01/25)
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サマリアの歴史は、ウラノン側より古く、500年ちょっと遡る。多国連合の北側にくらべ南側は帝国的だ。そして、これだけ長く続いた帝国の常として、内側の腐敗が始まっている。
リジュラーン皇は割と有能な人だが、皇族としての格を重んじるタイプで、儀式などが奢侈に走りやすい。貴族たちが争って付け届けをして、貴族たちは住民に重税を科す。最終的に少数民族がキツい目に会う。
で、皇帝側近のシャレン・ファイユ・エルトミーウ、という男が物事の中心になっている。彼は希代の天才であるかもしれない。詩才により王に取り入り、貴族たちの賄賂を集めて我が物とし、奇策を立てて(たとえば少数民族対策)まがりなりにも帝国内を安定統治している。
レリーナはケルンの科挙から中央王城へ入った。ソー・ラス・マイヤという商人上がりの裕福な男と知り合いになり、彼を王城へと推挙した。マイヤはレリーナに恩があるのでレリーナは上手くマイヤから情報を入手しているらしい。
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イオンのこと(99/01/25)
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サマリアとケルンの中間点、リューティアに静かに伝わる伝説のひとつ。
盲目ながら魔法を使い、無数の楽器をいちどに演奏して、常に音のなかに浸っていた少女、イオン。
天上の音楽。
楽神、とも言われる。しかし、リューティアでも妖精寄りの人々は、「音の妖精」と呼ぶみたい。
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そういえば、ライムさんは……のこと(99/01/25)
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ちょっと前、ライムさんとディージナが組むと凄い! と書いた記憶あるけど、よく考えたら、ディジナムナ女王のダンナは、ライムさんの子ではないか! 何忘れてたんだろ、あたし。
ということは、組む可能性極めて大、ですな。
ディージナの娘のオルティペディア、は、ディージナ&ライムさんの影響受けるのかも。結構イナメル-アマナフも安泰な気がしてきた。