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眠るあなたのもとに妖精が降りてくる。大きめの色気のないコートにミニスカートのよく似合う、背中の白い翼がなんとなく天使っぽいかわいい娘が。
「ようこそ、善き人よ。わたしはあなたのためにふたつの道を用意して待っていました。どうぞ」
見渡せば、荒野にふたつの道がある。ひとつは白の輝く大理石で作られた、雲間の光へつづく階段。ひとつは遠く地平線の闇までつづくひどく曲がりくねって細く荒れた道。
夢を見ているのだろうか。それとも死者の国へ来てしまったのだろうか。
「聖書のどこかには、『天国へ至る門は狭い』と書いてあったけど、そんなのうそっぱちだから。善き人はみんな天国へ行けますから、どうぞ階段の方へお進みください」
清純なシーリー・コートは話を続けた。
「ただ、もしあなたがまだ歩き足りないのであれば。幸せは与えられるものではなくて感じるものだと思うのであれば。あなたのためにもう一つの道があります」あなたは直感的に道を選ぶ。
かるくめまいを覚えふと気づくと、ここに立っている。
道の名前は「妖精の小径」
たどりつく場所も知らない道。
さっきまでの夢の続きを見ているように魂が宙に浮いていた。
妖精の小径は妖精のための道だから、ヒトは呪文を唱えて妖精になること。
「ほんとのことはなにもない、だけど全てのことはほんとのこと」
妖精てのはイー加減でお調子モンだからー
だけどね、とっても真剣なんだよ! この道を歩くと、妖精たちが様々な物語を話しかけてくる。
耳をすませて。目に見えるものよりも真実を映すから。
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